藤井猛・鈴木宏彦 著 2006年12月
大山康晴を史上最強の棋士と呼ぶ人は多いです。
大山は生前に多くの著書を残していますが、晩年に愛用した振り飛車を中心として理論書・研究書として現代に残って いるものはほとんどありません。
しかし「大山康晴全集」をはじめとして、ほとんどの棋譜は残っています。その内容を調べる事は、将棋術ともいえる 強さの分析・現代の将棋に影響をどの程度及ぼしているか・現代の振り飛車はどのように進化しているかを知るのに 非常に役に立ちます。
大山・升田以降はしばらく、中原・米長・加藤時代があり、そこでは相居飛車・特に矢倉が中心でした。対振り飛車に 長けた居飛車派により振り飛車は一時下火でした。本著の著者の藤井猛の登場により、新しい振り飛車時代が到来して 拮抗した進歩を遂げています。
本著は、その現代振り飛車の代表といえる藤井を中心に、大山振り飛車を分析した著書です。
藤井は理論・研究・実戦に基づく多くの重要な著書があります。それらも取り上げる予定ですが、大山振り飛車の 謎の分析は現在ようやく、具体的な分析を出来る時代になったとも言えます。それに一番の適任者の分析が中心の 本著は、発行されたばかりですが既に名著の内容を持っています。
大山振り飛車の戦略と威力、そしてその死後しばらく、振り飛車がなぜ下火になったのか。
そしてふたたび、振り飛車を指す若手棋士が増加して、それらにどの様な影響を与えるのかは本著により 益々注目されます。
座談会 大山将棋「強さの秘密」 中原誠・藤井猛・中川大輔・鈴木宏彦
現代に生きる大山振り飛車 藤井猛
棒銀対策
中飛車急戦編
三間飛車急戦編
四間飛車急戦編
5筋位取り
玉頭位取り
大山の左美濃対策
大山の居飛車穴熊対策
大山振り飛車に対する工夫の歴史
大山振り飛車エピソード編 鈴木宏彦
大山振り飛車実戦編 鈴木宏彦
大山時代は長い、順位戦A級の現役で死去するまでトップ棋士であり続けた。
木村義雄時代から、羽生・森内等との対局を残すまで第1線であり続けた理由は誰しも知りたいが難しい。
本著の内容からは、他の棋士にまねをされない将棋戦術を求めていた事を感じます。
ともすれば、スペシャリストや最善手が求められる傾向もあるが、大山将棋は多様性・複雑化・非定跡化を駆使 して、力の差で勝敗を決する戦略を感じます。
大山以後、居飛車主体の時代が続いたのは、大山ほどの実力者の振り飛車が減少したことと、大山振り飛車とは 異なる戦術を生み出すのに時間が要したためと思います。
最近の振り飛車が、定跡よりもシステムとして扱われているのを見ると、ようやく振り飛車の持つ柔軟性を生かす 方向に舵がとられたと感じます。
研究では、年齢を重ねると力が衰えますが、経験に裏打ちされた勝負術と戦略を駆使して第二の大山ははたして 登場するのでしょうか。
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