2010年発行の「佐藤康光の将棋」シリーズの1冊です。
居飛車側から見た、早石田や持久戦模様の戦型の研究・解説です。
目次
第1章:石田流の変遷を追う
後手石田流はなぜ指されないか
第2章:先手石田流破り・飛車先突き超し型 講座編
先手石田流破り・飛車先突き超し型 対鈴木流
先手石田流破り・飛車先突き超し型 対久保流
先手石田流破り・飛車先突き超し型 対升田式石田流
第3章:先手石田流破り・飛車先突き超し型 実戦編
対・鈴木流 対鈴木大介八段戦
対・久保流1 対久保利明八段戦
対・久保流2 対久保利明棋王戦
対・升田式石田流1 対戸辺誠四段戦
対・升田式石田流2 対久保利明棋王戦
第4章:先手石田流破り 飛車先保留型 講座編
先手石田流破り・飛車先保留型 銀冠対抗
先手石田流破り・飛車先保留型 4手目8八角成
第3章:先手石田流破り・飛車先保留型 実戦編
対・石田流、右四間飛車 対大平武洋四段戦
対・石田流、銀冠 対中尾敏之四段戦
対・石田流、7二飛 対久保利明八段戦
参考棋譜8局
「新手一生」をかざした故升田幸三にちなんで、将棋大賞に「升田幸三賞」が生まれました。
それを2011年度に2回目の受賞をしたのが著者です。
緻密流とも「平成の升田幸三」ともその他の別名で呼ばれます。
多彩な戦法・戦型・新手を操ります。
石田流は、スペシャリストの戦型と呼ばれます。
同時に度々合わない戦型に対し、居飛車側は対策を固定する方向です。
著者は、石田流を持った事はないが、対策は多彩な経験を持ちます。
それらを網羅した、最新定跡研究・解説書が本書です。
江戸時代から有名な戦法だった、石田流は振飛車の理想型の一つとされています。
しかし、現実は居飛車が避ける為に組むのが難しく、多く指されていなかった。
それが、升田式石田流の登場で復活したが、対策が進むと手詰まりになりまた下火となった。
この当たりの推移は、本著でも触れられているが、合わせて後手石田流が指されない理由も書かれています。
最新研究で復活したと言っても、いわゆるスペシャリストが使う戦型の感が強い。
先手なら、石田流か先手中飛車かは、後手の対応で決めます。
後手ならば、ゴキゲン中飛車という、ひとつのシステムがありました。
居飛車は、それぞれ3つの戦型を研究して、振飛車は対策を研究する状態が続いています。
結果的に対策は多彩になっていますが、全てまたは多くを指しこなす事は難しいのが現状でしょう。
ただ、色々な対策を指す棋士も少数いますし、対策が多彩だと、石田流側の準備も大変です。
ましてやアマチュアには無理に近いですが、多彩な戦型を広く解説したのが本書です。
石田流破りという題名ですが、石田流も対石田流も指す人双方にとって、有効な内容です。
これで、3戦法のひとつがクリアされる訳でないが、かなり詳しくなるでしょう。
そもそも3戦法で全てを対応する事は無理ですが、それに近い状態になるのが不思議でした。
しかし、対スペシャリスト対策が進めば、振飛車側も戦法を増やす事になります。
それの繰り返しで、将棋は変化して進歩します。
本書著者は、その引き金になる対策・新手が多いです。
本書の内容を自身で書き換える事も予想されます。
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「佐藤康光の将棋」シリーズの1作です。
居飛車側から見た対石田流の研究と実戦です。