谷川浩司著 2000年12月
将棋の盤面図や棋譜がない本です。。
最近、徐々にプロ棋士が定跡書以外のエッセイ等を書き初めています。
将棋生活と、経験から学んだ特異な才能の一端を読む事ができます。
この種の本が継続的に出版されてゆくと、棋士の成長や考え方の変遷が読みとれます。
全く将棋を知らない人には難しいかもしれないが、将棋の強さに関わらず楽しめます。
色々なジャンルの新書が出ているなかで、将棋界からも出版される事にも意義があります。
プロ将棋の対局は、一般にはあまり知られていません。
ましてや、トップ棋士の持つ能力ははかり知れません。
勝負の世界を描く本も増えていますが、棋士自身が書く事でより一端でも読み取れる可能性があります。
第1部 将棋から学んだ「勝利の気迫」
トップ棋士の条件
トップ棋士への道
第2部 勝負に勝つ能力を伸ばす
第1章 集中力
第2章 思考力
第3章 記憶力
第4章 気力
勝負の世界では、結果があらわれます。
同一カード対局数があります。これが多いと言うことはどちらも勝ち続けて初めて多くなります。著者はこれを真の ライバルを持てるとします。
勝負の世界には、年齢・キャリアが存在します。必ず先行するトップがおり、その後を追う者がいます。その関係は 立場をかえて永遠に続くでしょう。この目標と追われる立場が、世代を超えて戦う所に厳しさがあるとしています。
比較的に年齢の広い世界とされていますが、指し盛りといえる30代が存在して、その前後を技術と経験でバランス を取るとしています。
また技術だけで避けられないプレッシャーと個性についても、述べています。その基本は題名の「集中力」と言います。
過去を振り返り、自分を信じる事と、継続をポイントとしてあげています。
才能を生かすには、努力が必要でそれを継続するには「好き」である事が必要と言います。
勝負師には不調がありますが、焦りが禁物でやはり「集中力」を回復する事が重要としています。そのためには、 日常からレベルを高める必要を考えています。
現在、コンピュータ将棋が進歩しています。同時にプロ棋士の思考を研究するプロジェクトも共同で進んでいます。
そこで調べられているのが、「思考力」と「記憶力」です。そしてそこからうまれる「創造力」の解明です。
この部分にも多くのページが割かれています。かなり具体的に書かれていますが、ただその厳しさと難しさに 呆然とします。
最後は「気力」です。そこでは、「気力」が続くかぎり指し続けられるとしています。ただ、一般が考える「気力」 とはかなりレベルが異なる印象があります・
成功例を学んで、自分自身に役立てるという所から新書による色々な分野のトップのエッセイが増えています。 ただ表面的には分かっても、その奥底ははてしなく遠いと感じます。
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