島朗 著 2002年11月
本の分類はいくつかありますが、対象者での分類も重要です。
本著は作者いわく「出版社の担当の好みでぶ厚い本になりました」との事です。
大きなスペースを使う事で、幅広い戦法・戦型をかなり網羅しています。
基本定跡から最新の定跡・実戦棋譜まで含む事から、全てを読む事はかなり難しいでしょう。
しかし、辞書的な使用方法をすれば中級者でもかなり有用と言えます。従って対象者は中級以上と思います。
また戦型的には、一番避けにくい振飛車対居飛車戦ですので、将棋を指す人にはほぼ全員が対象と言えます。
刊行後6年以上たつ現在での評価と有用性はどうでしょうか。
最新形の部分は日夜新定跡が生まれ、流行も変わります。
従って全ての定跡書と同様に、刊行後すぐに一部は内容は古くなります。
全体に見て現在でも有用で、これは今後も長きにわたって同じでしょう。
もし定期的改訂が可能ならばもっと長生きしますが、読者の多くは「相居飛車編」を待っているでしょう。
刊行直後から急激に「相振飛車」が増えたために、読者から「相振飛車編」の要望もあると本人が将棋祭りで言って いましたが、著者本人いわく「とても時間的に無理です」との事です。
著者は現在(2007)は将棋連盟理事で忙しく、これほどの大作の執筆は難しい状態と思います。続編の事は 気長に待つとしましょう。
同じ時期に囲碁の「依田ノート」が同じ厚さ・装丁で出版されました。編集者の好みというのは本当ではないかと 思います。
向かい飛車の章:5項目・9節
三間飛車の章 :2項目・8節
中飛車の章 :2項目・7節
四間飛車の章 :7項目・26節
振飛車名人の十五世名人・大山康晴の一番の得意は四間飛車といわれました。
居飛車が「左美濃」「居飛車穴熊」等で優勢な時期もありましたが、その対策として登場したのが「藤井システム・四間飛車」です。
従って半数以上のページが四間飛車に費やされているのも当然でしょう。
現在では、本著では少数ページを費やしている「ごきげん中飛車」「石田流三間飛車」「コーヤン流三間飛車」 も広がりを見せています。
これは、居飛車派の後手戦法としての使用や相振飛車の増加にともなう、序盤戦法の変容が原因と思います。
流行の波の激しい将棋界ですが、振飛車はなくなる事はほとんど考えられません。
従ってまず「振飛車編」が登場したのも当然と思います。
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