1985年1月・文庫版刊行
複数のトップ・将棋棋士の勝局を集めたシリーズの1冊です。
将棋棋士自体の棋士寿命は長いです。
その中で、6割以上の勝局から20局弱を選ぶ基準は、棋士によって異なるでしょう。
将棋は昔は、八段までで、名人2期経験者が九段でした。
十段はタイトルのひとつです。
囲碁と比較して、九段が少なすぎる事から、通算勝星やタイトル3期という追加の基準が設けられました。
この時期にタイトル3期を獲得して、九段を目指した約5年の記録です。
大豪を倒す(第15期棋聖戦・対升田)
ライバルと激突(第15期棋聖戦・対有吉)
「空中戦」誕生(第15期棋聖戦・対中原)
迫力で圧倒(第15期棋聖戦・対中原
初タイトル獲得(第15期棋聖戦・対中原)
「理論」と「即興」と(46年度A級順位戦・対加藤)
リーグで優勝(第13期王位戦・対関根)
挑戦権を賭けて(第13期王位戦・対中原)
巨人に再挑戦(第13期王位戦・対大山)
型破りの妙局(47年度A級順位戦・対二上)
「鳥刺し」巨人を制す(第13期王位戦・対大山)
壮烈なでん撃戦(47年度A級順位戦・対大内)
王位へ「王手」(第13期王位戦・対大山)
ついに「王位」に(第13期王位戦・対大山)
盤上飛び交う駒と駒(48年度A級順位戦・対佐藤)
棋聖・九段へ背水の陣(第23期棋聖戦・対米長)
「妙手探し」の好局(第23期棋聖戦・対米長)
両手に花の栄光(第23期棋聖戦・対米長)
名匠に挑む(48年度A級順位戦・対塚田)
A級順位戦が5局+第15期棋聖戦が5局+第13期王位戦が6局+第23期棋聖戦が3局です。
順位戦以外はタイトルを獲得したものです。
タイトル獲得3期で九段を目標にして、到達した記録でもあります。
内藤九段は、自在流とも呼ばれ多才な戦型を使いこなします。
したがって、多様な戦型の歴史をも知る事が出来ます。
陽動振飛車・相懸かり・横歩取り空中戦法・腰掛銀・ひねり飛車・石田流・鳥刺し・位取り等の多様な戦型が含まれます。
特に、横歩取り空中戦法はその後に大きな影響を与え、内藤の代表する新戦法とされています。
大山全盛期から、中原時代へと以降する時期で、その他の多くの棋士が競ったころです。
大山振飛車や、中原・米長・加藤等の矢倉に対して、相懸かりやひねり飛車を中心に指しています。
現在は研究が進み、指されなくなっている戦型もあります。
それらも、内藤等の指した対局が研究の下敷きになったものと言えます。
昔から、関東の理論と研究に対して、関西の力戦と独創と呼ばれました。
以降は次第に、差は少なくなっていますがまだ現代でも残っています。
関西棋士・内藤九段は、その代表的な関西流で、独創的な戦型と構想が光ります。
掲載された対局が、タイトル戦やA級順位戦ばかりですので、内容は非常に濃いです。
思い出の対局でありながら、好局集にもなっています。
関東の振飛車や、矢倉中心の内容と異なる実戦譜集はこれだけで、意味があります。
流行という表街道もあれば、当初は一部から始まった裏街道もあります。
裏街道は、そのまま終わる事もあれば、いつしか表に出る事もあります。
内藤将棋は、どれほどが表の世界にでたのでしょうか。
それを、確かめるにも最適なほんでしょう。
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3タイトル獲得で、九段獲得を目指した。
その約5年間のタイトル戦を中心にした記録です。
独自の新戦法や戦型を駆使した戦いを見る事が出来ます。