おもしろ詰将棋216 神吉宏充 2009年6月(文庫版)
指将棋はゲーム性・勝負性という魅力があります。
そしてその上達方法は、色々な人によっていくつか提案されています。
その一つが、詰将棋を解くという事です。ここで二つの繋がりがあります。
ただし、詰将棋には色々な面があり、それ自体が一つのゲーム・ジャンルと成っています。
従って、一言で詰将棋を解くと言っても目的が「指将棋の上達」にある時は向いている作品と全く不向きな作品があります。
ある盤面を問題にする物としては、「詰将棋」「必死」「どちらが勝ちか」「次の一手」「定跡」等があります。
この中で、問題としてルールが明確化しており(注:実は真実は難しいが)、正解が基本として一つ存在する事が確認しやすい ものが「詰将棋」です。
ひとりで勉強していても、正解が不明では問題としては好ましくありません。
また難易度が、色々なものがあるのも重要です。人によってレベルはバラバラですから誰でも個々に対応出来なければ意味がありません。
「詰将棋」が「指将棋の上達」に有効な理由としては、通常は2つ上げられています。
1:読む力を付ける事が出来る。
2:終盤に玉を詰ます手筋を憶える事が出来る。
です。従って、2の理由から難しくて解けないならば一定の時間後には答えを見て手筋を憶える事を推奨する人が多いです。
さて指将棋の難しさに、双方の玉の事を考える、玉方の合駒を考える必要があるがあります。
実戦で必要だから、勉強しましょうの考えもありますが、それの入門問題もあっても良いのではないかというのが「双玉詰将棋」です。
かなり昔から、「大道詰将棋」が存在しました。これは独特のルールがあり初心者には難し過ぎます。
本著は、入門向けの「双玉詰将棋作品集」です。
序文 内藤国雄
まえがき 神吉宏充
第1問−第108問
第109問−第216問
将棋は、隠しごとと偶然がないーいわゆる完全情報ゲームーでは、盤面の大きさの割りには難しいとされています。
それは、将棋は取った駒を再利用できるからだという意見が多いです。
これを詰将棋に関していえば、玉方は合駒が出来るという事になります。この合駒というものが実に厄介です。
指将棋でも厄介な難しさだから、丁度良いといえる人は相当に強い上級者です。
(実は詰将棋における合駒については、非常にルール的に問題があります。「無駄合」という概念です。無駄な合駒はしないという ルールですが、どの場合が無駄かどうかはマニア間でも完全に意見が一致しているとも断言は出来ません。まして、初心者には難し すぎます。)
合駒が飛び交うのが、実戦ですし大道詰将棋です。
最終的に上級を目指すならば、合駒に強くなる必要があります。しかし初心者には、疑問です。
色々考えると、初心者向きの合駒問題の詰将棋があれば、指将棋の上達用に向いている事になります。
複雑ではないが、合駒にも注意が必要な簡単な詰将棋というのは意外と少ないのです。
「双玉詰将棋」というものは、大道詰将棋の華ですが、一般には少ないです。
理由は簡単です。規約(ルール)が正式にはない事です。
「通常の単玉の詰将棋に、攻め方の玉を取られない事という項目を加えると良い」と単純に考える事が出来ます。
何の世界でも、規約すれすれあるいははずれの問題を作りたい人がいます。従って、全てを含めてルール化するには難しい事が 多く存在します。
ただ、そのようなルールの解釈が必要な問題は避けて、シンプルなルールの追加でのみ作品を作り、そして解く行為はかなりの メリットがあると思います。
何故か?。答えは、本著の問題を解いてゆくと自然に分かると思います。
簡素で適当な短い手数の問題が集まっています。いうまでもなく、初心者向けです。
ほとんどの問題に、作意手順・紛れ順(詰みそうで詰まない手順=不正解)のどこかに逆王手が含まれています。
その状況は、実戦で双方の玉が接近または露出していて、合駒等で逆王手になる局面に類似しています。
相手の玉を詰ます時にも、自分の玉の事も考えるという習慣は、実戦では必ず必要です。
本著の問題を解く時は、それと同じ状態になります。
その一面を取っても、本著の作品が初心者向けでありながら、指将棋の上達用に向いているといえる理由です。
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