「現役若手棋士(当時)が羽生世代の4名を中心に若者の成長の記録を描く」
初出は、1995年で現役棋士の島が羽生世代の棋士の登場から成長までを描く。
中心は「島研」に集まった、4棋士:森下卓・佐藤康光・森内俊之・羽生善治です。
棋士になった時から、羽生七冠の誕生そしてその後を当時の目で描きます。
当時A級棋士で、少し前に初代竜王でもあるトップ棋士が著者というのは当時は珍しいでしょう。
将棋界・棋士については、逸話があふれる世界ですが奇行ではなく純粋な行動として捉えています。
勝負の世界での、果てしない追及の道はどの時代の切り口でも、まして棋士自身の著書では新しい発見があります。
1:多彩な時間とある断片−若き棋士たちの将棋ワールドより
白鳥のように
サラブレッドと優雅さ
1対0は差でない
若者たちの禁句
かけがえのない友情
プロはプロセス
羽生に勝つためには
完璧で必然的な逆転劇
長くて一瞬の一日
2:勝負と日常の空間で−いくつもの季節を駆け抜けて
図形の記憶
気分のよい午後
青年が成長する時
経堂はあきらめない
心を鍛える
駒沢ものがたり
チェスから学んだこと
爽やかでミステリアス
信号を過ぎたところで
これからの日々
・エピローグ
・その後の「純粋なるもの」
エピローグのその後
二十代後半の夏
果てしなき道
初出は、著者が将棋順位戦の最高リーグA級棋士になった時代です。
それに、『その後の「純粋なるもの」』を加筆して3年後に文庫化されました。
将棋の世界は、ある地点のみを見る一般的な人からは思いつきでさまざまな中傷がなされやすいです。
伝統芸能でかつ勝負師の世界でかつ、技術力を高める事でのみトップになれるという事が理解されにくいのです。
いくらかの人には、勝負師の姿に作られた虚像を見る場合があります。
そしてトッププロでも勝率は6割程度が普通という事を知りません。
そして、1局の対戦の結果をあまりにも重視しがちです。
将棋という競技はその性格上で、全勝は極めて難しく、コンスタントに6割の成績を収める事が如何に難しいかを理解している人は 将棋ファンでも少数です。
紙一重の実力差が、非常に大きな結果となって積み重なってゆく世界は、理解出来ない人が圧倒的に多いです。
第3者はそれを逆に面白く描く傾向がありますが、棋士自身がより純粋な技術の向上心と努力として知らせる意味は大きいです。
その内容を別世界の事としてしまうのか、形をかえてどの分野の若者にもあてはまるとするのかは読者次第です。
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