ヘンな序盤急増中!だから、戦法の仕組みとりくつ、教えます!
2007年発行。。
1990年代に入ってから誕生した戦法は、それ以前の常識を覆しています。
「常識」が覆るには、理由があり理屈がありますが、アマには判り難いです。
そのような新戦法を説明した、プロの新戦法の鑑賞の手引き書です。
主要戦法の成り立ちや、戦略や狙いを流れにそって解説する事でコツを掴む事を狙っている。
定跡の解説よりも、戦略的な考え方の説明です。
まえがき
流行戦法の変遷
第1講:1手損角換わりの話
第2講:矢倉の話
第3講:後手藤井システムの話
第4講:先手藤井システムの話
第5講:ゴキゲン中飛車の話
第6講:相振り飛車の話
第7講:石田流の話
第8講:コーヤン流の話
第9講:8五飛戦法の話
参考資料:藤井システムの基本手順
あとがき
プロ棋士中でも、戦型・戦法を整理してその理屈・理由を判りやすく説明出来る一人者とも言える著者です。
自身は、プロ六段ですが、著者紹介以外には肩書きはありません、そこから変わっています。
将棋博士というあだなでも知られる、理論派です。
アマにとっては、大変にありがたい存在でその著作には非常な人気があります。
そして、その著者が休むひまもない程に現代プロ将棋は、変化が激しいです。
序盤での常識「手損はするな」はいくつかの戦型で崩れました。
その代表として「1手損角換わり戦法」から始まりなす。何故手損するのか?。
将棋という競技では、指した手が悪手になる場合があるという事が前提です。ならば、後手はもともと1手遅れるのだから もう1手遅らせて先手によけいに指させる。あるいは1手指さない事で悪手を回避する・・それが思想です。
穴熊の流行は戦法を大きくかえました。特に居飛車穴熊は振飛車を悩ませました。
穴熊に囲うと、「堅い・攻めてる・切れない」形になれば勝ちとされています。
そして終盤に出来る「Z」の形=相手に駒を何枚もたれても絶対に詰まない形が穴熊で生じやすいです。
それに対抗して登場したのが、「藤井システム」です。システムが付く戦法は少ないですが大きな幹のイメージがあります。
すなわち相手の動きを見て、自分の形を変えてゆく指し方がシステムという所以です。
藤井システムの攻防は現在将棋の典型です。相手の動きを見てから自分の作戦を立てる・・この争いです。
本書のあたりから急激に増えたのが「ゴキゲン中飛車」です。「角交換に5筋の歩は突くな」の格言はどこに言ったのでしょうか。
そもそも「振飛車は角交換を避けよ」自体を無視しています。なによりも居飛車穴熊が簡単ではありません。
2010年現在一番中心の戦型になっています。常識から最も外れた戦法です。
相振飛車という戦型が、実は相居飛車と似ていると気づく事に時間がかかった事は、後から観ると不思議です。
不整備の定跡が完備されて来ると、次第に相居飛車に近づいて来たのです。それは、居飛車派には有利な事でした。
そして居飛車派感覚の相振飛車登場で一気に、視界が換わりました。
江戸時代の戦法「石田流」に工夫を加えたのが「升田式石田流」です。そしてしばらく登場して居ませんでしたが、「鈴木式 石田流」「久保式石田流」と流行しはじめました。
プロには、どの戦法も指す棋士と特定の戦型に集中するスペシャリスト=職人がいます。後者についてもこの本では述べています。
ただ真似が出来ない世界とも言っています。流行とは別の世界という意味でしょう。
横歩取り8五飛ほど、驚いた戦法はないでしょう。そして直ぐに消えると思った人が多いと思いますが、まだまだ深い様です。
偶然に指された様で実は論理的に研究されて登場した事が今では知られています。本書の最後はこの3階建ての戦法です。
内藤流3三角+中原囲い+中座飛車(8五飛)の3階建て構造です。
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