ラリー・ニーヴン

アメリカを代表するハードSF作家です。
ノウンスペース・シリーズという独自の未来史のシリーズでデビューしました。
最新の科学技術を元に数々の問題作を発表しています。
「リングワールド」はその集大成的な意味で書かれたようですが、あまりにも反響が大きくその科学的謎を中心とした問題点が広く研究される結果となりました。
その結果、修正や追記的な内容が必要となり、それを感じた作者により続編が書かれました。
作者は、その後パーネルやバーンズとの共著で多くの作品を発表しています。
作品の多くを占めるノウンスペースとは、既知宇宙の意味で想像上のものでも科学法則が通用する世界との設定です。

リングワールド

作品

・「リングワールド」:1971
・「リングワールドふたたび」:1980
・「リングワールドの玉座」:1996
・「リングワールドの子供たち」:2004


「リングワールド」はシリーズ化を意図して書かれたものではありません。
ところがその、奇想天外な設定・構造が多くの人をこの架空の物体の研究にかりたてる事になりました。
その結果、修正や追加説明が必要になり続編が書かれる事になりました。
シリーズとしては発表間隔が非常に長い理由はこれが原因でしょう。
リングワールドは、中心に太陽状の恒星があり、地球と同じ公転半径の位置にリング状の天体があるという設定です。
あまりにもスケールが大きく、かって科学的にイメージした事のない天体のために、その詳細について多くの人が興味を持つことになりました。
架空の天体の研究が行われたのです
リングの重心は、リングの中心にあります(恒星の位置)のでリングを引っ張る力が働きます。
それとバランスを取るためにリングが回転して遠心力を持ちます。
結果として、かなりの強度が必要となります。
その他、沢山の問題点が見つかり作者の元に送られてきたと言われています。
その最大が、リングの重心がずれた場合に元にもどる力がないとこの天体は不安定であると言う事です。
色々な問題の指摘を取り入れて、作者は続編を書き修正しました。
リングの不安定については、姿勢制御用の推進装置を存在させました。
その結果としてもうひとつの謎・この天体の起源が人工天体である事が2作目で明らかにされました。

感想等

ハードSFの世界は、科学情報で矛盾なく理解できるとされています。
科学情報は絶えず進歩しますので、本が書かれた時代を考慮しないのは意味はありません。
リングワールドという天体は、あまりにも特異で、多くの人に存在の可能性の検討をさせました。
それだけ魅力があることですが、結果として多くの問題点が出てきました。
作者が続編でそれらの明らかになった問題点の回答にあたる事を取り入れた事は、ハードSFの楽しみ方を教えてくれます。
ひとつの全く新しい天体を創造すれば、問題点は無数に近くあるでしょう。
次々の続編での対応もありますが個人的には科学的な研究・検討に夢中にさせるのは、最初の2作であろうと感じます。
リング状・ひもの両端が繋がった状態の世界は幻想小説では定番的になっています。
しかし、ひとたび科学情報に基づくハードSFの世界に構築すると、全く異なる内容・楽しみ方がうまれます。
天体の安定性等は理系の問題ですが、絶えず恒星に向かい合っている世界での生態系・人類とうや生物が生きられるかどうか、文明は進歩できるか等の半理系・文系の問題も同時に存在します。
空想科学小説という言葉に驚かずに、広い読者層にも楽しめる事を理解される事を期待します。

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