ジョージ.ゼブロウスキー
1945年、オーストリア生まれで、イギリス育ちで後に、アメリカに移住した。
1970年に、SF作家デビューした。
同年に「異教の神」が、ネビラ賞(短編)の候補になった。
1972年に初長編の「オメガ・ポイント」を発表する。
大学の専攻が哲学だった事もあるのか、哲学的テーマのスペース・オペラと言われた。
「オメガ・ポイント」は、シリーズの第2作目の位置ずけであった。
その後は、しばらく他の作品を発表した。
1977年に、シリーズの第1作目に当たる「灰と星」を発表した。
灰と星
地球連合とヘラクレス帝国との間に、3世紀にわたる長い戦争があった。
ヘラクレス帝国は敗れてその結果、首都と世界は灰となってしまった。
その後は、都市の残骸が残っているだけだった。
少数の生き残った人々は、銀河系の辺境に移り住んで、マイラの世界という宗教的な共同体を営んでいた。
そこへ、へラクレス球状星団のとある惑星の奥深くに隠れていた二人がいた。
ある父と子が人工冬眠から目覚めた。
復讐心と憎悪と激しい闘争心を持った二人は、一度敗れた地球連合を滅亡させようと戦争の準備をはじめた。
そして、プリセプトという小さな辺境の植民地を攻撃した。
そしてそれの抹殺に成功した。
感想等
本作も、シリーズの第2作にあたる「オメガ・ポイント」も似た小説構成です。
「哲学的テーマのスペース・オペラ」というのは、スペース・オペラ自体の明確な定義がないからでしょう。
作者がそれぞれ持つイメージで展開する話です。
本書の内容は、細かく切った章とその冒頭につけた引用を読めば分かるという指摘があります。
確かに、哲学書・神話・叙事詩等を中心にした引用群は、それだけで何かを表している様です。
その何かこそが、哲学的な思想だと言えますので、受け入れる事は、「哲学的テーマのスペース・オペラ」も同時に受け入れる事になりそうです。
主人公が宇宙人で、侵略者が地球人という構図は、どのスペース・オペラでも同様とも言えます。
それならば、本作の様にはっきりとした逆の立場の話が判り易いかもしれません。
本作は、かなり短い長編小説ですが、読むのはかなり厄介です。
異星人の独白にあたるので当然というよりも、この作者の作風や哲学的イメージが理由に思います。
読者の負担を考えての、短い長編なのか、説明を省いた故のコンパクトさが難しくしているのか?。
いずれにしても、やや読みにくい内容が逆に、作風の雰囲気を作っているとも感じます。
異星人間の抗争とも、親子で引き継がれる復讐談ともいえるシリーズです。
その背景が、何故とか、何を意味しているとかまでは、考えが及ばぬ小説に感じます。