梅原克文
この作者の小説は、単純にSFとされていない事は書いておく必要がある。
例えば「スーパー・エンターティメント」「ノン・ジャンル」「現代の伝奇小説」「モダンホラー」
「SF的シュミレーション」「理系文学」とかです。
作者自身も「自身の手がける作品のジャンルに対しては、「サイファイ」と呼ぶことを提唱」と読んだ事があります。
そして、「SF作家」とする評論家に批判的とも読んだ事もあります。
ただこのサイトの筆者は、「サイエンス・フィクション」が好きだが、幻想系の好きです。
つまり、評論家的なジャンルの定義を持っておらず、空想・仮想・科学の要素を持つ小説なら取り上げています。
現代に入って、安易な架空の世界の導入が増えていますが、本サイト名である「空想科学」のキーワードで見ています。
本作者は、SF同人誌「宇宙塵」出身であるが、ジャンルに捕らわれないエンターティメント小説を目指している事は明記しておきます。
ソリトンの悪魔
プロローグ
第1部
第2部
第3部
あとがき
感想等
21世紀前半の八重山諸島から台湾にかけての海が舞台です。
尖閣諸島問題が大きくなった2012年以降では、妙な目で見られる可能性も危惧されます。
作品自体の構想に「海」が必要であり、「ノン・ストップ・アクション」の舞台として地域を選んだ。
ちなみに、発表は1995年です。
海底観測基地に現れた、架空の物体の正体が絡んだ、その追求と次々起きる問題の解決で進みます。
そこには、空想科学要素を強く反映され、理系発想が次々と登場します。
そもそも、その正体自体が幽霊とか怪物とかの単純なものでなく、もっとスケールが大きい。
確かに、数々の要素がふんだんに盛り込まれた、小説です。
そのどの部分に一番惹かれるか、全部で良いですが・・・。
理系人間の私が、SF的理系的な部分に特に注目して、SFとして読んでも許されるのでは無いかと思う。
その部分だけを取り上げて、その他の多くの他の要素を省いて、SF論議を行う気は全くないです。
読んで面白い小説は、複数の切り口を持つ事は多いです。
それを一つの見方から斬る事には、小説的な意味はあまりない。
しかし、1要素だけを取り出して優れたものという事は、それが小説全体のどのくらいの比率にかかわらず許されると思う。
とにかく、色々な要素で見ても面白いが、全てを楽しまない事は不幸でしょう。
そして、SF的理系的な部分にも注目して本サイトで紹介する事も、良いと思います。