シオドア・スタージョン

1918年アメリカ生まれで、船員生活後に小説家になった。
作風は幻想派になるが、むしろ非テクノ派と言われている。
あるいは、自分を含めた人間を描くとも表されています。
2昔前までは、本国の評価とかその後の作家への影響とかの大きさとは異なり、日本への紹介は少ない作家でした。
作品よりも、「スタージョンの法則」とか、エラリー・クィーンの「盤面の敵」の代作者の方が知られていた感もあります。
知名度の割合ほどには、受賞歴が少ない事が理由だという説もあります。
その意味では、早く登場した作家のひとりでしょう。
この作者の活動期は、まだSFの初期にあたり、本作者らの業績によって、SFが広まり各種の賞が設けられました。
いわば、まだSF関係の賞が作られる前からの活動が大きいのが理由と言えるでしょう。
その日本では、マイナー的な紹介にとどまっていた本作者も、近年は事情が変わっています。
21世紀初め頃から、代表作や代表短編をまとめた作品集が、複数紹介されています。
同時に、過去に紹介されて絶版だった幾つかが、復刊されています。
漸く、まともな扱いになりつつあるでしょう。

コスミック・レイプ

宇宙に漂う超生物「メドゥーサ」が、色々なものに乗り移り、浮浪者「ガーリック」の体内に入った。
宇宙空間を占有して、無数の生物を自身の支配下に於こうとする「宇宙強姦」を目指した。
しかし、個々の意志を持つ人間という生物は支配しにくい存在だった。
「メドゥーサ」は、浮浪者「ガーリック」を取り込み、どうすれば人間を融合したひとつの頭脳に出来るかを探した。
試行錯誤でそれをなしとげる機械を作り、人間をひとつの頭脳に融合できた。
しかし、それは「メドゥーサ」の一部にはならずに、別の融合生物になった。
そして、浮浪者「ガーリック」のみがそこに入れず、「メドゥーサ」の一部になった。
「ガーリック」は、融合生物になった人間を見たが、もはや人間とは思えず、人間は滅びたと思った。

感想等

幻想系SFは、イメージとして理解しやすい作品と、難解と思う作品があると感じます。
スタージョンは、後者だという意見が圧倒的に多いです。
それは、人間を対象とする為か、あるいはその上で精神的あるいは哲学的な要素があるとの見方もあります。
そもそも、文学は人間を対象にするものが圧倒的に多いです。
SFでもそれを描く、時代や時間スケールが異なる手法として、受け取る人もいます。
SF小説の文学論を議論するつもりはないし、そのことは個人にまかせれば良いとも思います。
ただ、作者が描いたものが理解出来るかどうか、受け止められるかどうかは、読者として問題です。
面白い、興味がある、考えさせられた、別の考え方を知った。
どれでも良いですが、読書後になにもなければ、時間つぶしだったのかとの思いもあるかもしれません。
それでは、難解だ・理解出来ない・・・の場合はどうでしょうか。
個人的には、気になる存在であれば、それも一つの読書で得たものと思っています。
スタージョンは、非テクノ系でありますが、それを表す言葉が難しい事や、2つに分ける幻想系という言葉に入れられている感があります。
分類や紹介は、読者に何かの先入感を与えがちです。
スタージョンを始めて読む人は、プラスかマイナスかどちらかに裏切られるでしょう。
どちらかと言えば、プラスに裏切られる方を望みます。
近年の傾向は、たぶんその方向になってきたのだと理解したいです。

サブコンテンツ

メインメニュー

このページの先頭へ