山尾悠子

学生時代にSFコンテストでデビューし、就職後もSF雑誌等に作品を発表した。
その後、専業になり長編も出版したがその後作品は途絶え、その高い評価から伝説の作家とも言われた。。
早くから作品は、幻想文学であると言われていたが当時はそのジャンルは未発達で、純文学誌に作品を発表するかあるいは山尾悠子のようにSF雑誌に作品を発表するかしか選択肢がなかった。
作品が途絶えている間に、幻想文学というジャンルが認知されて山尾悠子もようやくそこに分類されるようになった。
その後、1999年に雑誌「幻想文学」にしばらくぶりに作品を発表し、伝説から目覚めた。
そして、2000年に大冊の「山尾悠子作品集成」が出版され寡作ではあるが、小説界に戻ってきました。
作者が幻想文学作家であるという認識は定着して、昔はSFジャンルの作家と呼ばれたという紹介になっている。

遠近法

・夢の棲む街:短編集に収録:1978年
・夢の棲む街/遠近法:短編集に収録:1932年
・山尾悠子作品集成:収録:2000年


腸詰宇宙とそこの住人が呼んでいる世界が舞台です。
底と頂上が存在しない1本の円筒型の塔の内部に存在します。
内部の中央部は空洞になっていて、それを囲む部分に無数の回廊があります。
無数の回廊はどれも完全に一致しています。
住人は異なる回廊とは殆ど交流がなく、人々の視覚は遠近法で支配されています。
住人は空洞の反対側の世界を見る事が出来ると同時に、空洞内を移動するほこりや太陽を見る。
空洞内の移動は落下か飛翔に見えるし、理解を超えた現象は住人に色々なイメージをもたらします。

感想等

架空の世界は、SF小説に度々登場するテーマです。
作者がその世界を、自然科学で構築・理解しようとするとハードSFと呼ばれるようになります。
逆に作者がその世界を、イメージとして作りあげて理解しようとすると、現在では幻想の世界・幻想文学といわれます。
山尾悠子は、早くから後者であり幻想の世界を描いていると理解されており、それは現在も変わりません。
例えば、ラリー・ニーブンのリングワールドをサイエンスで可否を検討する人が複数存在します。
しかし、山尾悠子の腸詰宇宙をそのように扱う人はいません。
作者の描こうとするイメージを読者自身でも描こうとします。
すなわち、本作者の作品は理解するには難解なのです。
かわいた堅い文体と詳しい描写で表される世界であっても、依然としてイメージを具体化する事は容易ではありません。
幻想的とも象徴的とも抽象絵画的ともいわれる世界は、途切れる事のないイメージの世界かも知れません。
SF界が育てた、幻想文学作者の世界は完全な理解が困難なだけに、読者に近寄り難さと繰り返しの理解への挑戦を促すようです。
難解な作品は、寡作でよかったというファンともっと読みたいファンが同居するように思います。

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