宮部みゆき

質・量共に多く高い、代表的なエンターテイメント作家です。
守備範囲はきわめて広く、むしろまだ書いていないジャンルを探したほうが少ないかも知れません。
早くから超能力が登場する作品が複数あり、SF的な設定も多様しています。
また、幻想・ファンタジー等の作品も多く、いわゆる作り物を書く作家でもあります。
時代小説にも早くから、手を染めて、捕物帳等の伝奇小説と歴史小説に近い物も書いています。
中心は、推理小説ですが多彩な背景と手法で書くので、その謎もなかなか侮れません。
そして多彩なジャンルの、混じりあった作品も登場します。
推理小説の世界には、歴史の謎の新解釈を主題にした物があります。
その手法は、文献等からの推理の通称・安楽椅子探偵ものが一つです。
もう一つは、タイムスリップ物です。
後者は、部分的にSFの世界で、SF作家もいくつか書いています。
それが過去ならば、時代小説的な背景となります。
タイムスリップした人物が、「二・二六事件」の時代に行き事件に遭遇して犯人捜しを行う、ただし架空の人物のです。
その様な作品が、「蒲生邸事件」であり、日本SF大賞受賞作です。

蒲生邸事件

主人公・尾崎孝史は、ホテルで火災にあい、不気味な同宿の中年男に助けられた。
その男と避難した先は、タイムスリップした、二・二六事件中の戦前の東京だった。
当時あった蒲生陸軍予備役大将の館に住んだ孝史は、蒲生予備役大将の自決に会った。
第二次世界大戦へと進む当時の日本の将来を予言する遺書を残して自決したとされる蒲生予備役大将だが、
孝史は、その場の状況から自殺に疑問で、犯人探しをはじめた。・・・・・・。
注:蒲生予備役大将は架空の人物です。

目次

第1章:その夜まで
第2章:蒲生家の人びと
第3章:事件
第4章:戒厳令
第5章:兵に告ぐ
終章:孝史

感想等

歴史の謎と正確には異なるのは、架空の人物の死と言うことです。
ただ、「二・二六事件」も「第二次世界大戦」も存在する。
歴史小説でないが、伝奇小説でも歴史小説にかなり近いと言えます。
複数のジャンルの要素の入った作品を、SFの視点から見るのも意味はあります。
何故、タイムトラベルさせたか。
なぜ、過去の事件のみにしなかったのか。
SFでもそうだが、ミステリでもあるので、それに付いては書かないのが常識の部分です。
歴史は勝者が作った話であるとは、常識的な事です。
ただ、まだ数は少なくても生存者がいる時代は、歴史というのかの問題はあります。
それは、司馬遼太郎が「坂の上の雲」を歴史感の固まっていない時代として、生前に映像化しなかった所と似ています。
歴史が、新しい文献の発見や、遺跡の発見で変わってもそれは学術の世界です。
しかし、生存者の居る時代はそれ以外でも変わる。
何がその歴史を作ったかがまだ定まっていないだけとも考えられます。
それでも、一応の歴史と資料と研究はあります。
その時代を取りあげる時に、仮定をより多くするがそうとは直ぐに見えなくする。
それで、SF設定も併せ持つ展開とは、ひとつの見方です。
いずれにしても、時も自由に利用した作品といえます。

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