太田忠司

ミステリー長編の「僕の殺人」で本格的に作家デビューして、多数のシリーズや著作のある作者だ。
デビューのきっかけは、故星新一が行った「ショートショート」コンテストだ。
そこから出発した作家は複数いるが、長期間活躍している代表が、太田忠司だ。
太田忠司いわく、「ショートショートは星新一と共に生まれ、共に無くなった」。
現実に、極端に星新一以降は見かけなくなった、ただし太田忠司には複数のショートショート作品集がある。
この著者は、多くの著作があるが、幻想・SF設定を加えた作品も多く、最近では幻想よりも科学SF設定が強い作品もある。
代表シリーズに、霞田志郎を探偵役にした本格ミステリーがあり、霞田志郎の職業がSF作家で、妹・千鶴が漫画家だ。
このシリーズは、2015年現在は一応の終結をしている。
それが書かれた時期に、太田忠司は霞田志郎名義で、「異説 夢見館」「トリガー 凶星の歌」を発表している。
従って正しくは「霞田志郎:トリガー」とするべきだが、作者の知名度からどちらが判り易いかは微妙だ。
書籍を探す時は注意が必要だし、復刊される場合にどの名義になるかは不明だ。
帯とか、解説とかに太田忠司の名は明確にあるのだが・・・。
そして、SFミステリーとの表記もある。

トリガー

副題は「凶星の歌」となっている。
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青い落陽 蒼い凶星
パルカ
ルシア
モリエ
パティオにて
火星人たち

逃走
秘密の部屋
中央管理センター
システム破壊
アナザ・ユートピア

ケイ
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解説:太田忠司
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本には、目次が無いのでそれも明かさないほうが良いのかもしれない。
未読者の興を削ぐとも思えないが・・・。

感想等

近年と限らないが、架空・空想・幻想設定を含む小説は多い。
登場人物の思考の中もあるが、パラレルワールドや作り物の面白みの追求の結果とも言える。
ただし、SF作家とも言える程に多数・深く関わっている作家は、必ずしも多くない。
幻想や、シュミレーションや時代物のものを加えると多くなるが、どこまでSFかは難しい。
この作者は、その多くを書いていて、なおかつショートショートの後継者でもある。
ハードSFまでは行かないが、それに近い設定や構想の作品もある。
ミステリー作家と共に、SF作家と言っても良い実績がある。
近年に、このジャンルの作品が増加傾向とも言える。
作者の意向か、出版社側の意向かは不明だ。
ただし、1999年に「トリガー」で既にかかれたいるので、突然と作風の変化ではない。
作者の多い引き出しの中から、何を取り出すかのイメージだ。
「トリガー」の時代設定は、2044-2084年で近未来に近い。
後書きで、ブラッドベリの「火星年代記」を言及している事は、本作のキーワードだ。
引き出しの多い作家の個々の好みを言及しても、今後の予想もほぼ無意味だ。
SFとの関わりも同様で、ショートショートを含めて予測不明が魅力の1つだ。
人工的なジャンル分けを越える作家が増えているが、その中で幻想や超能力を含む作品群も既にカバーしている。
そして、かなり真ん中のSFとも言える本作も存在する。
SF専門作家が不足とは思えないが、広義のエンターテイメント作家のジャンル横断は増えている。
だが、それがサプライズでもなく、違和感もない作家はまだ少数だ。
その少数の作家の読者は、既に小説世界を広く捕らえている筈だ。
あるいは、それが故にそのタイプの作者を愛読する理由かも知れない。

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