辻真先

辻真先は、1932年生まれの日本ミステリー界の重鎮だが、2017年現在でも新作を発表している。
戦後直ぐに、桂真佐喜名義で雑誌「宝石」の登場して以来、多彩なジャンルで多数の作品を書いている。
「アリスの国の殺人」で日本推理協会賞受賞、「完全恋愛」で本格ミステリ大賞を受賞した。
漫画・アニメの原作や、アニメ・特撮映画や舞台の脚本家としても活動した。
旅行関連でもエッセイや評論で活躍している。
また鉄道関係でも上記と同様に活躍している。
多様な活躍ジャンルは、小説の中に色々な形で取り込まれる事も多い。
名古屋出身で長野、東京らに住み、現在は熱海駅を見下ろす所に住む。
小説は空想と多様な発想に満ちており、SF的な内容を含むものも多い。

SF味が強い作品も多数ある。
ここでは、第二次世界大戦末期の満州と満鉄を舞台にする「あじあ号、吼えろ!」を取りあげる。
日本軍部と、連合軍として参戦したソ連と、中国のゲリラ組織と、その他の裏組織等が入れ混じる。
謎の組織・人物が大きな謎となるが、空想と歴史から取り込んだものが描かれる。

あじあ号、吼えろ!

「あじあ号、吼えろ!」は2000年に書かれたた、作者の複数のテリトリーを横断する大作だ。
舞台は第二次世界大戦終了直前の満州で、国策映画撮影目的で満鉄の超特急あじあ号がハルピンを出発して、満州奥地に行った。
そこにソ連が連合軍として参戦が噂された。
主人公らは、映画撮影を隠れ簑とした、あじあ号を使用した脱出計画を作る。
だが集まった乗客らの中に、得体の知れぬい怪しさを持つ軍人らと関係者が含まれた、
同時に奇妙な謎の積み荷も有った。
いかにもそれらしき舞台と登場人物とその背景の歴史が揃う。
SF時代・戦記・鉄道・冒険なのだ。
 
---------------------- 
 序章

第一部
 霹靂
 経過
 集結
 発車
 遭遇
 積荷
 登場
 死神

第二部
 不可能
 三重苦
 突破行
 疑問符

第三部
 疑心暗鬼
 前門に虎
 火中の栗
 絶体絶命
 虚実皮膜
 死屍累々
 終着は死

 終章

感想等

辻真先はミステリー作家であり、多分野の脚本家であり、旅行や鉄道の評論・エッセイを書き、アニメや漫画や特撮の原作や脚本も書く。
作者はミステリーとアニメ・漫画と脚本を多数書き、その発想と描く舞台は広く自由だ。
だが、同時に旅と鉄道関連の分野へも深く関わる為に、これらのジャンルが複数に相互に絡む事は自然だしあるいは、必然だ。
その広大な空想力はSF小説の分野にも参入している。
あるいは、それを意識しないでも、内容にその味が含まれる事は多い。
鉄道小説の中には、架空の舞台・鉄道を描いた物も多い。
登場列車も路線もダイヤも作者は自由に作りあるいは、時間・空間を移動させる。
ミステリもあれば、冒険小説もある、そのジャンルには制限はない。

例えば、樺太を舞台にした「サハリン脱走列車」や、択捉島を舞台にした「急行エトロフ殺人事件」などもある。
それぞれの手法は似るが、その小説内容は多様に広がる。

小説「あじあ号、吼えろ! 」では、
第二次世界大戦後2年の帝銀事件から始まり、戦後40年に移る序章が描かれる。

第一部ではそこから、昭和20年の満州の舞台に移る。
ソ連の戦争参戦により満州奥地から「あじあ号」を使用しての、ハルピンへの脱出への鉄道旅が始まる。
他には交通機関が無い状態の為に、多数の乗客と荷物が集まる。
その集まった関係者の、正体は不明で進行する、謎と冒険とが繰り広げられる。
一部は正体が明らかにされる、ソ連とゲリラらだが、冒険小説にはスパイと裏切りは付きものだから暫定の正体だ。
ちなみに「あじあ号」が実際にこのような運行がされたか、作者の空想だが大冒険にはイメージは合うようだ。

史実と空想とが入れ混ざり、半架空舞台でのアクションが行われる、それはSFだと思えば自然に楽しめる筈だ。
そしてそれと併行して、作者の鉄道愛とが混ざる。
ストーリーの詳細や、結末は小説の性格上で、書けない。

そして終章では、戦後40年後の日本になりそこでは、登場人物が40年前を振り返る。
そこもまた歴史と空想が混ざる、そこで架空の40年前の謎が明らかになる。
登場人物に何かに成りすました人物がいて謎となっていたのが明らかになるのだ。
勿論それも作者が描くものなのだ。

サブコンテンツ

メインメニュー

このページの先頭へ