ジュール・ヴェルヌ

ジュール・ヴェルヌは、SFの開祖者のひとりと言われる作家です。
分野的には、科学冒険小説になるでしょう。
フランス生まれで、若くして発見・発明に興味があり、先駆的な科学知識とそれから発想する多くの着想が彼の作品の特徴です。
勿論、当時はSFという概念は無かったかはっきりしていなかったでしょうが、彼の作品を認め長い契約を結んだ事で、1905に死ぬまで80以上の作品を書いたとされています。
日本へも多数の作品が紹介されて、色々な形で現在でも読まれたり映像化を見たりしています。
科学知識とそこからの、発想とを冒険談に変える物語作者として、高く評価されています。

海底二万里

原題は「20 milles Lieues Sour les Mers 」で、翻訳題名は複数にあります。

直訳は「20マイル」になります。

突然に現れた正体不明のもの。
くじら説が多いなかで、その正体を調べ始めた主人公の3人は、漸く見つけます。
しかし、実はそれはネモ船長の作った潜水艦「ノーチラス号」でした。
陸上に戻らず、海中生活をするネモ船長と、同様に陸に戻らないという約束をした3人は潜水艦に乗り込みます。
そこから、謎のネモ船長と共に多数の冒険に満ちた。海中世界一周を行う事になります。
最後に潜水艦から逃げた3人は、「ノーチラス号」とネモ船長のその後はまったく判らないのでした。

感想等

作者初期の作品です。すなわち、科学冒険小説初期の作品でもありますが、このジャンルに必要な要素が既にほとんど含まれている事に驚きます。
科学知識は、時代と共に変わります。それは、それに基づく事が難しいと思えます。
しかし、科学知識だけでない、豊富な発想と、ストーリー性は一体となると、長く読み継がれる事が出来ます。
実際に、本作に登場する幾多の謎の全てが、現在でも解決はしていませんし、実現もしていません。
たとえ、技術が実現して、謎が解決しても、小説としての面白さは残ります。
創始者にして、同時に完成の域に達している事は、後を継ぐ者は非常に高いハードルになります。
幸い、SFというジャンルは広く、完成という事はまずないだろうと思えます。
ただ、古典と言われる本作等が依然として読まれ続ける事は、後継者は多くの事を学べそうに思います。
登場人物の人間性と、その中に存在する謎の人物。
謎の冒険談の始まりと、終わり方・・・小説は終わっても、話は終わっているとは言えない。
小説に含まれる、歴史や社会風刺等も、マイナスにもプラスにもなりそうです。
長編小説が、幾多のエピソードで構成されていますが、短編の集まりでない事は大事です。
まだ明確な伏線という概念はなさそうですが、それに近い構成は見られます。
本作者は、ポーやデュマ等に学んだとされています。
小説の面白さは、その学んだ内容かも知れません。

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