小松左京

日本を代表するSF作家です。
2007年現在は執筆活動は少ないが、「小松左京マガジン」発行プロジェクトを運営。
作品は、広いジャンルを網羅しておりファンは幅広い。
「日本沈没」は33年前に書かれた作品で、新書版での発行も相まってベストセラーとなり映像化された。
本年、再度映画化されると同時に、プロジェクトを組み「日本沈没 第二部」を刊行する。
33年前は、ジャンルの異なる3長編が連続映画化された(日本沈没・エスパイ・復活の日)。
幅広い作品群を網羅する事は困難であるが、「日本沈没」を取り上げる。

日本沈没

長編

・「日本沈没」
・「日本沈没 第二部」(谷甲州と共著)


「国土を失った日本人」の発想から生まれた「日本沈没」は、テーマとしては実に多くの切り口がある。
その中で作者が選んだ方法は、地球物理学を駆使して、長い時間をかけてゆっくりと日本を沈没させる方法です。
その結果、まだ話題性が低かった地球物理学への興味が高まり・国土を失った後の日本人のあり方を考える長い時間が発生し検討委員会が複数の選択肢を提示する。
現実の日本列島消失の事態に対しての全世界の反応や、日本人個々の反応が描かれる事となった。
ゆっくり沈む日本列島から、日本人は脱出する事が出来るのか、そして国土を失った日本人はどうなるのか・・・。
で小説は終了する。
「第一部 完」の巻末の文字はいかなる意味を示すかは33年後の「日本沈没 第二部」の刊行まで作者以外には謎であった。
「日本沈没 第二部」は谷甲州との共著になった。
国土を持たない国家は現実に存在したが、それが日本人でかつ現在であるとどうなるのかが一応の本作のテーマである。
しかしそれは併行して描かれる一部であり、地球物理学と発達したコンピュータ技術とを駆使した新たなテーマがメインとなる。
今現在の、日本を取り巻く(あるいは全世界的問題)問題にたいして、偶然かあるいは意識的にか、かなり大胆に切り込んでゆきます。
技術的にも、社会的にも多くの問題を投げかける作品となった。
小説の最後は、「第二部 完」である。
小松左京自体は、構想を持っていると思うしプロジェクトで書くことも変わらないと思うがはたして第三部はどのような内容で登場するのであろうか。
作者の年齢的に、それほど長い期間が空く事はないであろう。
予告だけで終わるのはやめて欲しい。

感想等

小松左京の膨大な作品群に比べると、私の読んだ作品数は誤差の範囲かもしれません。 しかしどれも印象深いです。
私の専門は数学・物理で、地球物理学・宇宙物理学は非常に興味があります。一応、大学の1コマで学んだし本も かなり読みました。従って、日本列島の沈没というテーマ自体は意表では無かったです。
しかし、細部のシミュレーションを駆使した内容は興味があったし、小説の内容としては部分のテーマでした。
作者の構想が、国土のない国家ならば第二部がその中心であると予想しましたが、またも小説の部分でした。
今後の世界で、何が一番の戦略物になるのかの大胆な仮説・人工で引き起こされた地球温暖化が騒がれていますが 地球の歴史から寒冷化氷河化をテーマにした仮説が大きな軸になっています。
そして、世界各国の政治的戦略は現在の日本でも無視できない問題を想定させます。
サイエンスは、自然科学と社会科学があり、その双方を融合させて2冊は、SF小説の一つのあり方を示しています。 第三部の登場を待つのみです。

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