ロボット3原則
SFとロボットは切れない関係にあります。
特に有名なのが、アイザック・アシモフの小説に登場する「ロボット3原則」です。
(正確には「ロボット工学3原則」)
・第1条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。
またその危険を見すごすことによって人間に危害を及ぼしてはならない。
・第2条:ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。
ただし与えられた命令が第1条に反する場合はこの限りではない。
・第3条:ロボットは第1条および第2条に反するおそれのない限り自己を守らなければならない。
この原則が全てのロボットの電子頭脳に組み込まれた所から話がはじまります。
ロボットと3原則が主体のアイザック・アシモフの作品群
短編集
・「われはロボット」 9作
・「ロボットの時代」 8作
長編
・「鋼鉄都市」
・「はだかの太陽」
・「母なる地球」
アシモフ以前にもロボット・テーマの作品は多く、いわばSF小説の定番でした。
しかし、アシモフは「ロボット3原則」を持ち込む事でそれ以前の作品群と明快な差別化に成功しました。
「われはロボット」はロボット工学の発展史的な内容で、一見して意味不明な行動をするロボットが登場して
何故そのような事が起こるのかを3原則と状況から謎解きをします。
3原則を元に解明する過程は、かなり数学的で謎解きの面白さがあります。
ロボットは3原則に忠実に行動していますが、人間には矛盾した行動に見えるという現象の解明です。
その他の作品は、ロボット3原則以前のロボットをテーマにしたり、その後の発展を元に書いたりしています。
感想等
アシモフは「黒後家蜘蛛の会」シリーズ等の推理小説も書いています。
元はといえばロボット3原則シリーズ自体が謎解き要素に満ちています。
「SFミステリ」と呼ばれる事も多いです。
アシモフ自身が謎を論理的に考え解明する姿勢でいますので、テーマを変えるとミステリにもなるわけです。
SFの定番とも言われたロボットですが、いよいよ実用化が近づいてきました。
実験段階や近未来を舞台に選べばもうSF・空想ではなく現実の世界です。
ロボットの最初の用途としては、既に使用されている無人工場・危険な作業の人からの置き換えがあります。
それに加えて、愛玩用・介護用などが特に進んでいるようです。
最近作では、日本のミステリ作家「貴志祐介・硝子のハンマー」が介護ロボットを作中に取り上げています。
その設計思想は、ロボット3原則の影響が強いと思います。
介護の世界では、病人を守る・けがをさせない等が重要です。
しかし介護ロボットを利用したように見える殺人?が起きたように見えます。
はたしてそれは可能でしょうか。
アシモフのSF小説と同じテーマと感じます。